2010年3月8日月曜日

僕とTOEIC (その2)

近年のTOEICの人気はものすごいものがあります。それにともなって、出題ついては徹底的に研究され、900点超えあるいは990点を目指すテキスト、問題集も発売されるようになりました。

日本という社会の中では外国語の運用能力をきちんと評価できる人がほとんどいないため、TOEICをはじめとした資格試験が外国語能力のバロメーターになっています。そして資格試験で高得点をとることと実際の外国語の運用能力には大きな溝があるにもかかわらず、その点について目をつぶることになっています。

そのような風潮の中でTOEICにスポットライトが浴びるのはやむえないことなのでしょうが、もうひとつ僕はTOEICが流行る風潮に危惧する点がいくつかあります。

それは第一に、TOEICを通してスピーキング、ライティングといった情報発信能力が培われないというところです。国際的な場面では意見を発信するということが一番大事だといっても言い過ぎではないと思います。会議で一言も発言しない人間は次から呼ばれなくなります。ひどい場合にはプロジェクトからはずされます。

国際的な場面で対応できるように、あるいは活躍できるように英語をマスターしようとするのが本来なのに、そのバロメーターとして使っているTOEICが、国際的な場面では必要な能力を評価の対象としていないということなのです。その結果、おかしな話ですが、実際にはあまり必要とされない能力を持って英語力が評価され、それが日本国内での英語実力評価とされているということです。

僕はTOEICを「ひきこもり英語」と言っています。TOEICをひとつの英語力のバロメーターとするのは結構ですが、TOEICのスコアアップを目標化するのは非常に危険なことだと思っています。

もちろん、僕はTOEIC100%否定する気はありません。でもTOEICのスコアが700点を超えたくらいからは一人一人がそれぞれのニーズに合わせた英語を学習することをお勧めします。

こういうことを言うのは、おそらく少数派でしょう。なぜならちょっとでもTOEICのスコアがよい方であれば、「TOEICを教えます」という看板を掲げれば簡単にお金がかせげますからね。それだけTOEICスコアアップ需要があるのは事実ですが、それに伴って日本人の英語力が伸びていかないことも事実なのです。

3 件のコメント:

あ~る さんのコメント...

この記事を日記に全文引用して論評を加えてもよろしいでしょうか。
論評といっても、反論はありません。
僕としては、TOEICの弊害は弊害として正しく認識し、その上でどうTOEICと付き合うかを各人が決めればいいと思っています。
TOEICと付き合いたくなくても、逃げられない人もいますからね。

Unknown さんのコメント...

TOEIC帝王のあ~るさんに引用していただけるのは非常に光栄でございます。
どうぞお使いください。

Unknown さんのコメント...

完全にアグリーです。

「ひきこもり英語」、、、いいですね。